第14回日本Glycemic Index 研究会に寄せて

近年は栄養学を専門とする者あるいは一般人を問わず、いわゆる糖質を制限した食事に関心が高まっています。しかしこの問題はその有効性の面での科学的な裏付け、その安全性、どのような人にそれを適用すべきか、などの点が未だ明らかにされていないまま、種々の方法で施行されることが多くなってきているのが現状です。さらにこの問題は、日本人の食の嗜好にも関係することからも看過することができないものになってきています。

 

今回の本研究会ではこのような現状を踏まえ、まず教育講演として、「低糖質食」を用いた糖尿病の食事療法を病院において副次的に導入している内田淳一先生より、実際の施行例をお示しいただくことにしました。内田先生らの病院においては、糖尿病の食事療法を施行する中で、一般的な方法が何らかの理由で困難となった患者さんに対し、合併症を持つ人や妊婦、小児などを除外した上で比較的糖質を少なくした食事を再度患者さんに提案し、それにより食事療法へのモチベーションを高め血糖コントロールの改善に方向づけしているとのことです。

 

次に特別講演では、糖尿病の食事療法に関して日本の第一人者である石田 均先生にご講演を頂きます。ご存知のように石田先生が委員長を務めておられます日本糖尿病学会の専門委員会では、このほど食品交換表を第7版に改定したところです。その変更点をお示しいただきながら、糖尿病の食事療法のあり方、進むべき方向性を科学的な根拠とともにお示しいただきます。石田先生の抄録にもありますように、摂取エネルギーの調節だけではなく食事の「質」に配慮する必要性など、重要な点をお示しいただけるでしょう。特に3大栄養素のバランス、脂肪酸の構成成分などは動脈硬化の発症進展を防止する上で重要です。糖尿病の治療は血糖だけを制御する時代から変わりつつあるのです。

 

 

本研究会の中心的課題であるGIについては「炭水化物を多く含む食品の質」を考慮する指標であるとしてとらえ直すことを私は提案したいと思います。糖質、炭水化物を多く含む食品の摂り方は単なる治療技術の問題ではなく、まさに日本人の食文化に関わる非常にナイーブで重要な問題として考えて行く必要があるのです。

 

 

2015(平成27)年7月5日

佐々木 敬

日本Glycemic Index研究会 代表幹事

東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター臨床医学研究所 教授